パウエルの代理人が二重契約を否定

前巨人のパウエル投手がオリックスソフトバンクの両球団と二重契約したと判断された問題で、同投手の代理人を務めるCraig Landis氏が、両球団からの統一契約書に署名したことは認めたが、ソフトバンクとは出来高払いなど詳細も含めて最終合意に達したのに対し、オリックスとは合意に至っておらず正式契約はしていないと主張していることが明らかになった。オリックスとは具体的な交渉で進展を見せたが、最終的には手術を受けた右膝の状態を球団側の医師が診て、結果によっては契約条件を下げる可能性があると通告されたため、一度は交渉が途絶えていたソフトバンクと連絡を取り、最終合意に至ったという。また、オリックスと交わした統一契約書については、本来であれば代理人を通すべきであるにもかかわらず、1月中旬にパウエルの自宅にFAXで送信され、「ビザを早急に取得するために必要」との説明を受けて署名したが、年俸額も記入されておらず、正式な契約書とは認識していなかったという。

オリックス代理人の主張に反論

これに対し、オリックス中村勝広球団本部長は「うちの書類を正式とみなしていないなら、なぜ本人がサインを書いて送り返してきたのか。苦しい言い訳だ」と反発。29日の会見でも披露したパウエルからの手紙に「オリックスでプレーするのが楽しみだ」との旨が書かれていたことを挙げ、「彼はオリックスでプレーする意思を示していたじゃないか」と契約の正当性を主張した。オリックスの場合、12月のウインター・ミーティングで交渉がまとまれば、その場で正式な契約を交わし、それ以降でもFAXとは別に航空貨物で書面を送付して原本を送り返してもらうこともあるが、今回はキャンプイン初日に間に合うようにビザを取得するため、FAXでの契約書交換になったという。

ソフトバンク代理人とメールで連絡

ソフトバンクの竹内孝規球団常務取締役兼最高執行責任者(COO)が、パウエル側の「オリックスとは正式契約を結んでいない」という主張が報道されたことを受け、代理人とメールで連絡を取ったことを明らかにした。竹内常務兼COOは「(オリックスとの交渉が)決裂し、契約しないとオリックスに伝えた、と言っていた」と代理人の言葉を一部公表し、ソフトバンク代理人の認識が一致していることを強調。両球団とパウエル側の三者の主張が出揃ったことから、「法的な資格を持った善意の第三者が介入してくれないと、解決の道は見えない」と話した。
一方、オリックスの中村本部長は、代理人から契約破棄の連絡は入っていないとした上で、「(統一契約書には)本人のサインもあるし、連盟も認めている」と契約の正当性を改めて主張し、「連盟がジャッジを下すところまできていると思う」との認識を示した。代理人には支配下選手登録の手続きを取ったことをメールで伝えたが、返事はないという。